
●フジテレビ系のドキュメンタリー番組を書籍化したもの
●アートネイチャー、アデランス、リーブ21の施術を実際に経験した人へのインタビューが載っている
●著者自身が受けた無料ヘアチェック体験記が載っている
●育毛サロンの実態がよくわかるようになっている
育毛サロンなのに薬を出している?
育毛サロンの実態がよく書けていると冒頭で触れましたが、僕が一番驚いたのは、リーブ21に関する部分です。
なんと「毛を生やすための施術」と並行してプロペシアやミノキシジルなどの薬を処方されたものの結局期待した効果が得られなかった体験者の声が紹介されています。
しかも、著者自身がその施術を実際に体験したさい、カウンセラーが施術と並行して薬を使うことをはっきりと認めたうえで、施術によって土台が作ってあれば、薬をやめても大丈夫なんだ(髪を維持できる)、と力説したということです。
これにはさすがに驚きました。
薄毛界隈では常識なのでしょうか?
僕はこのブログでずっと触れてきたように約20年前にリーブ21に通ったことがあります。
そのとき受けた施術の内容というのは、この著者が潜入体験記として載せている内容とほぼ同じです。
つまり、毛穴に詰まった脂を取りやすくするために頭皮をよく温めたあとに入念にシャンプーをしてそのうえで育毛剤を丁寧に塗り込んでいくというのがだいたいの流れです。
そして毎回の施術の前後のいずれかに(確か後が多かった)頭皮の状態をスコープでチェックしたり、食事の内容を詳しくチェックして改善点を教えてもらったり、します。
だいたいこれが僕が覚えている限りの一回の施術の流れで、僕のときはこの間に薬の話など持ち出されたことはありませんでした。
この本が出版されたのが2005年、元になったテレビ番組の放映が2004年です。それ以前にインタビューを取っていると考えると、僕よりも少し後(1年から2年程度)に通うようになった人に対してこうしたことをするようになったと、考えられます。
プロペシアというのはフィナステリドという薬剤名で元々前立腺の薬です。その薬を容量を変えて薄毛対策に使うようになり、日本では2005年に認可されています。今薄毛治療に出される薬としては最も一般的なものです。
ミノキシジルというのは、アメリカのFDAからその使用に関して強い警告が出ている降圧剤で薄毛のための薬ではありません。単に副作用として多毛症が認められたために、その副作用を目当てに使用しているだけのものです。薄毛用の薬としては論外です。
この著者がカウンセラーから言われたという「土台ができて頭皮が活性化できた状態であれば薬をやめても抜けることはない」という言葉もまたなかなか衝撃的です。
プロペシア(薬剤名フィナステリド)もミノキシジルもやめればその薬の性質上元に戻ってしまうというのは常識です。
元に戻るだけならいいですが、ほとんどの場合は薄毛が進行してしまいます。
なぜかと言えば、そもそも進行していた脱毛症を薬でいったん止められたという幸運があったとしても、使っていた期間、年を取るからです。
つまり老化によって進行するはずだった分をその後に払わなければいけなくなるわけです。
これから施術を受けようとする人への説明としてはかなりきわどい話だと言わざるをえません。





















やっぱり生活習慣が基本というところに戻ってしまいます
『ぼくらはみんなハゲている』のなかにはカツラをかぶる人、逆にカツラをカミングアウトする人、育毛サロンに通ったものの改善せず高いお金だけ払った人、アートネイチャー相手に裁判を起こした人、自毛植毛をした人、人工植毛をして頭皮がボロボロになった人など、他人事だとはとても思えない心が重くなる経験をした人がたくさん登場します。
ただ、この中にはプロペシアやミノキシジルを常用してどうなったのか、という人の声は載っていません。
プロペシアが正式に日本に認可されたのが2005年でこの本が出版されたのと同じ年です。
見つけようにも見つけられなかったということですね。
きっと今この本を書こうと思えば薬を試した人の悲喜こもごもの声が主となるはずです。(※2013年に加筆修正のうえ電子書籍されているので、そこでは触れているかもしれません)
育毛サロンは発毛をうたっているにも関わらずほとんど解決になりませんでした。
その後に出てきた西洋薬による「治療」は確かにより高い実績を積み上げてきたように思えますが、もちろんすべての人の解決になったわけではなく意図しなかった副作用の問題までしょい込むことになりました。
世界に目を向ければポストフィナステリドシンドローム(薬をやめてもなお続く後遺症のこと)を糾弾する共同体が組織されているのは周知の事実で、下手をしたらその後の人生すべてに影響を及ぼす可能性だって出てきます。
別の大きな課題が放置されたままというわけです。
そもそも、男性型脱毛症という「症状」に対して西洋薬を一生使い続けることを提唱する治療が倫理的に許されるべきものなのか、考察すらもされていません。
僕はこの本を読んで明日禿げたらお前はどうするんだ! とずっと言われて続けている気がしました。
かなり心が重くなりましたし、しばらくうじうじと考えたりもしました。
ただ、この時点で結論は出ないし、出しようもない、というのが正直な落としどころです。
ひたすら老化を妨げるため、日々やりがいをもってすごすだけ、といういつもの話に行きついてしまいます。
最後に僕自身のケアの基本がどういうものなのかまた触れてみたいと思います。


















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