育毛サロンとはどんなところなのか? 『ぼくらはみんなハゲている』読書感想

羽田三樹夫
『ぼくらはみんなハゲている』という2005年に発行された本を読んでみたのでその感想を今日は書いてみたいと思います(※その後2013年に加筆修正のうえ電子書籍化しています。今回はそのもとになる書籍をとりあげます)。この本はフジテレビ系のドキュメンタリー番組を書籍化したものですが、文字通りハゲをテーマにした本です。僕が特に注目したのは育毛サロンの体験記とその施術を実際に受けて失敗した人の生々しい声を紹介している部分です。約15年前の本ですが育毛サロンの実態を知るには格好の本と言っていいと思います。僕自身の体験記も併せて紹介してみます。

 
 

『ぼくらはみんなハゲている』とは?
●フジテレビ系のドキュメンタリー番組を書籍化したもの
アートネイチャー、アデランス、リーブ21の施術を実際に経験した人へのインタビューが載っている
●著者自身が受けた無料ヘアチェック体験記が載っている
●育毛サロンの実態がよくわかるようになっている

 
 

育毛サロンなのに薬を出している?

育毛サロンの実態がよく書けていると冒頭で触れましたが、僕が一番驚いたのは、リーブ21に関する部分です。
なんと「毛を生やすための施術」と並行してプロペシアやミノキシジルなどの薬を処方されたものの結局期待した効果が得られなかった体験者の声が紹介されています。

しかも、著者自身がその施術を実際に体験したさい、カウンセラーが施術と並行して薬を使うことをはっきりと認めたうえで、施術によって土台が作ってあれば、薬をやめても大丈夫なんだ(髪を維持できる)、と力説したということです。

これにはさすがに驚きました。

薄毛界隈では常識なのでしょうか?

僕はこのブログでずっと触れてきたように約20年前にリーブ21に通ったことがあります。
そのとき受けた施術の内容というのは、この著者が潜入体験記として載せている内容とほぼ同じです。

つまり、毛穴に詰まった脂を取りやすくするために頭皮をよく温めたあとに入念にシャンプーをしてそのうえで育毛剤を丁寧に塗り込んでいくというのがだいたいの流れです。

そして毎回の施術の前後のいずれかに(確か後が多かった)頭皮の状態をスコープでチェックしたり、食事の内容を詳しくチェックして改善点を教えてもらったり、します。
 
 

 
 

だいたいこれが僕が覚えている限りの一回の施術の流れで、僕のときはこの間に薬の話など持ち出されたことはありませんでした。

この本が出版されたのが2005年、元になったテレビ番組の放映が2004年です。それ以前にインタビューを取っていると考えると、僕よりも少し後(1年から2年程度)に通うようになった人に対してこうしたことをするようになったと、考えられます。

プロペシアというのはフィナステリドという薬剤名で元々前立腺の薬です。その薬を容量を変えて薄毛対策に使うようになり、日本では2005年に認可されています。今薄毛治療に出される薬としては最も一般的なものです。

ミノキシジルというのは、アメリカのFDAからその使用に関して強い警告が出ている降圧剤で薄毛のための薬ではありません。単に副作用として多毛症が認められたために、その副作用を目当てに使用しているだけのものです。薄毛用の薬としては論外です。

この著者がカウンセラーから言われたという「土台ができて頭皮が活性化できた状態であれば薬をやめても抜けることはない」という言葉もまたなかなか衝撃的です。

プロペシア(薬剤名フィナステリド)もミノキシジルもやめればその薬の性質上元に戻ってしまうというのは常識です。

元に戻るだけならいいですが、ほとんどの場合は薄毛が進行してしまいます。

なぜかと言えば、そもそも進行していた脱毛症を薬でいったん止められたという幸運があったとしても、使っていた期間、年を取るからです。

つまり老化によって進行するはずだった分をその後に払わなければいけなくなるわけです。

これから施術を受けようとする人への説明としてはかなりきわどい話だと言わざるをえません。

黒沢月男
今日は『ぼくらはみんなハゲている』の読書感想ですか?
羽田三樹夫
少し前に薄毛界隈の必読書というのをあげたけど、これもそこに付け加えないといけないな(実際このあとに付け加えました)。

 
 

 
 

黒沢月男
それほど重要な部分に切り込んでいるわけですか。
羽田三樹夫
薄くなってしまった人、ハゲの人がどうやってそれと向き合って生きているのかを伝えていて、それぞれの向き合い方っていうのは考えさせるものがあると思う。ただ俺が一番驚いたのは育毛サロンに詳しく触れている部分だな。
黒沢月男
経験者へのインタビューとかですか?
羽田三樹夫
そう。麻生泰さんが書いた『間違いだらけの薄毛対策』を読めば、カツラを扱っている業者が増毛の後にカツラに導くようなやり方をしているっていうのは、だいたいわかるわけ。
黒沢月男
自分のまだある毛につける増毛っていうのはいろいろと問題が多いようですね。
羽田三樹夫
その増毛がうまくいかなかったときになってカツラの話をしてくるわけだ。カツラだけは嫌だと思っていた人にとっては本当にショックだと思う。事実麻生さんはそういうやり口を徹底的に糾弾している。
黒沢月男
育毛、増毛、かつらみたいな流れはわかっていたけど、まさかそこに薬を使うステップもあるとは思わなかったということですか。
羽田三樹夫
そう。リーブ21に関する体験談でミノキシジルとプロペシアを処方されたって出ているんだな。しかも著者自身が体験した施術で実際にカウンセラーが施術に並行して薬を使うことを認めたっていうのだから驚きだ。
黒沢月男
薬を使って治療ということになると初めからクリニックに行ったほうがいいですね。
羽田三樹夫
薬を使うとしても土台ができて頭皮の状態が活性化できた状態で使用するのでやめたからといって抜けることはない、とカウンセラーに説明されたって書いてあるんだな。土台ができれば髪が抜けにくくなるとかあるいは、もしかしたら発毛することだってあるのかもしれない。ただ薬をやめても元に戻らないっていうのは、薬自体の特性を考えるとやっぱり相応しい説明とは思えないんだな。
黒沢月男
薬で生えてきたものは基本やめれば抜けるということですか。
羽田三樹夫
そう。それは医師に聞けばすべてのひとがそう答えるはずだ。事実この本のなかでリーブ21と提携しているクリニックに直接聞いたら薬の特性上、続けなければ戻っていくはずですって、と答えたと載っている。
黒沢月男
リーブ21に通っていた20年前はそんなことがなかったということですよね。
羽田三樹夫
俺の場合、地肌が見えてしまったとかそういう段階ではなく、洗髪だけで200本抜ける状態が8カ月続いたときに通いだしたんだな。結果としてその抜け毛が止まって、髪がよりしっかりしたというのが俺の場合の結果だ。だからその後も『アクティシャンプー』というシャンプーを使い続けたわけだ。
黒沢月男
それと食事を含めた生活習慣の改善がどれだけ大切なのかってことにも目を向けることができたと。
羽田三樹夫
特に食事に関しては初めに1週間分の食事の写真を撮ってそれをチェックするところから始めるんだな。
黒沢月男
ということは20年前と今は違っている可能性があるから、このブログでの伝え方にもさらに注意が必要になってくるということになりますかね。
羽田三樹夫
土台を作るっていうのは賛成なんだな。俺はその「土台作り」を徹底的に追及してなんとか40代半ばでもハゲてない状態を維持できているわけだから。最近30代の甥っ子もハゲていることがわかって、父方の親戚でハゲていない変わり種はついに俺だけになったよ。

やっぱり生活習慣が基本というところに戻ってしまいます

『ぼくらはみんなハゲている』のなかにはカツラをかぶる人、逆にカツラをカミングアウトする人、育毛サロンに通ったものの改善せず高いお金だけ払った人、アートネイチャー相手に裁判を起こした人、自毛植毛をした人、人工植毛をして頭皮がボロボロになった人など、他人事だとはとても思えない心が重くなる経験をした人がたくさん登場します。

ただ、この中にはプロペシアやミノキシジルを常用してどうなったのか、という人の声は載っていません。

プロペシアが正式に日本に認可されたのが2005年でこの本が出版されたのと同じ年です。

見つけようにも見つけられなかったということですね。

きっと今この本を書こうと思えば薬を試した人の悲喜こもごもの声が主となるはずです。(※2013年に加筆修正のうえ電子書籍されているので、そこでは触れているかもしれません)

育毛サロンは発毛をうたっているにも関わらずほとんど解決になりませんでした。

その後に出てきた西洋薬による「治療」は確かにより高い実績を積み上げてきたように思えますが、もちろんすべての人の解決になったわけではなく意図しなかった副作用の問題までしょい込むことになりました。

世界に目を向ければポストフィナステリドシンドローム(薬をやめてもなお続く後遺症のこと)を糾弾する共同体が組織されているのは周知の事実で、下手をしたらその後の人生すべてに影響を及ぼす可能性だって出てきます。
 
 

 
 
別の大きな課題が放置されたままというわけです。

そもそも、男性型脱毛症という「症状」に対して西洋薬を一生使い続けることを提唱する治療が倫理的に許されるべきものなのか、考察すらもされていません。

僕はこの本を読んで明日禿げたらお前はどうするんだ! とずっと言われて続けている気がしました。

かなり心が重くなりましたし、しばらくうじうじと考えたりもしました。

ただ、この時点で結論は出ないし、出しようもない、というのが正直な落としどころです。

ひたすら老化を妨げるため、日々やりがいをもってすごすだけ、といういつもの話に行きついてしまいます。

最後に僕自身のケアの基本がどういうものなのかまた触れてみたいと思います。

黒沢月男
生活習慣にこだわることと、頭皮についてはなるべく何もしないということを徹底するというのは、ずっと変わりませんね。
羽田三樹夫
40代って周りのハゲ率が30代に比べてさらにあがってくるんだな。薄くならなくても白くなったり、少し細くなったり、殆どの人間に髪のおとろえがはっきり出てくる年代だ。
黒沢月男
しわが多くなってきて、運動しないとすぐに体型が崩れてきて、なんていう体の衰えと一緒ですね。
羽田三樹夫
加齢による変化っていうのは誰でも必ず訪れる変化なわけだな。
黒沢月男
だから老化を後ろにいかに倒すかってことですか。相変わらずの。
羽田三樹夫
ばかの一つ覚えってずっと言われてきたけど、それをひたすら考えて実践していたらどんどん他の人が追い抜いてくんだな。
黒沢月男
追い抜くとは?
羽田三樹夫
ヘアケアに夢中になっている人がどんどんハゲていくということだよ。月3万近くヘアケアに使っている人も、高い育毛剤ばかりはしごしている人も、プロペシアを飲んでいる人も、みんな一番やばいと思っていた俺を追い抜いていくんだよ。
黒沢月男
頭皮ケアにばかり熱心な人がみんな失敗して自分だけが残ったと言いたいんですか?
羽田三樹夫
まず抜け毛が大量に発生したときにやったことがシャンプーを変えるということで、その後さらにシャンプー自体をやめるということに行きついたわけだ。これは以前にブログで書いた通りだ。極力何もしないというのは実は究極の頭皮ケアなんだな。
 
 
 
 
黒沢月男
そこに土台作りの生活習慣をひたすら実践するわけですか。
羽田三樹夫
食事で言ったら、魚、野菜(根菜も含む)、大豆、味噌汁、という和食を中心にして塩をとりすぎない、米ばかりを食べすぎない、フルーツはほどほどにする、コンビニでは買わない、出来合いのものはなるべく口に入れないということ徹底しているわけだな。
黒沢月男
早起きしてお日様の光に当たりながら運動をすれば睡眠もバッチリとなると。
羽田三樹夫
朝に光を浴びると夜メラトニンがしっかり分泌されるから結果として快眠につながるっていうのも前に説明した通りだ。最近ではこの朝の時間を運動の時間にも当ててしまっている。
黒沢月男
スピードが出る自転車を買って無茶苦茶汗かくんでしたね。上だけ着替えをもって。
羽田三樹夫
どこかでシャワーを浴びられればいいのだけど、着替えるだけで本当に気分爽快だ。汗をかくから寝ぐせも実によくおさまってくれる。
黒沢月男
育毛剤をはしごする暇があったら食事、運動、睡眠という基礎の部分をもっと細かくよく観察していく必要があるということですかね。
羽田三樹夫
運動、睡眠に関しては参考になりそうな記事も貼っておくのでのぞいてみて欲しい。

 
 
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髪の悩み相談室登場人物
髪の悩み相談室室長・羽田三樹夫……24歳のときに洗髪だけで200本抜けるという恐怖体験を8か月経験する。そのときから生活習慣の改善に重点を置いた「薄毛にならない対策」をはじめる。父親はハゲ、父親の父親(=祖父)もハゲ、父親の兄(=伯父)もハゲ、母方の祖父もハゲ、父方の親戚にかつらの戦士がいるという「華麗なるハゲ一族」の出。遺伝を考えれば絶望的にかかわらず、42歳になった今でも「ハゲでない」状態をキープしている。
黒沢月男……30歳から生え際が後退しだし、ごまかしが効かなくなっている35歳。薬に頼るかどうか真剣に思案中。
雫まゆみ……旦那がずるむけのハゲ。旦那が育毛剤その他のヘアケア商品の購入のためだけに金を使うのでそのことでしょっちゅう喧嘩をしている。ハゲを見るだけで最近気分が悪くなる。