このブログではずっと触れてきたことですが、僕はAGAに対して薬を用いるのは論外だと思っています。
ミノキシジルの外用薬を使ってひどい副作用を味わったことがあるからというのが理由の一つです。
それから西洋薬は毒を持って毒を制すというのが基本でAGAというのはそもそも毒ではないからというのがもう一つの理由です。
AGA(=男性型脱毛症)は正式にはandrogenetic alopeciaと書きます。
これは日本語にすれば、男性脱毛症もしくは男性の脱毛です。
つまり疾患ではないわけです。
重篤な副作用の可能性があったとしても薬を使用すべき時というのは確かにあると思います。
例えば、岡本裕さんは『薬をやめれば病気は治る』のなかで、その典型的な例が気管支喘息のショック状態を起こした人に対して使われるステロイドだとしています。
生命が危ぶまれる場面において活躍する、これが本来の西洋薬の使い方だというわけです。
男性の脱毛にそんな生命が危ぶまれる危機など存在しないというのが僕の意見です。
目次
確かめておいたほうがいいのは海外の論文
今日は「AGA治療を受ける前に知っておくべきことはこれ!」とタイトルに書きました。
もちろん副作用のことを念頭に置いて話していますが、副作用を調べるにしてもちょっとした手間が必要だと思っています。
それは、処方される薬の副作用を海外の論文にあたって確認しておくということです。
フィナステリドとミノキシジルの内服薬がAGA治療の両エースですね。
フィナステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換する5a-還元酵素の阻害薬です。
(男性ホルモンのジヒドロテストステロンがどうやら悪さをしているらしいということがわかってきて、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を妨げるのを目的とした薬です)
この薬に関しては、大抵の説明として副作用はごく軽微である、とされています。おそらくクリニックで処方されたとしても同じような説明を受けるのではないかと思います。
ただし、例えばアメリカの国立生物工学情報センター(NCBI)が運営するPMC(生物医学・生命科学の論文のアーカイブを見ることができる)から論文を拾ってみると、こんな文章を目にすることができます。
「Finasteride induced Gynecomastia: Case report and Review of the Literature」という題名の論文です。
冒頭の要旨(=abstract)を抜きだすとこんなことが書かれています。下に僕が訳した日本語も付けてみました。
Finasteride (1 mg/day) is widely utilized by dermatologists for the treatment of androgenetic alopecia. Although enjoying a relatively good safety profile, several sex-related adverse effects have been reported with this drug. Here we report two cases of gynecomastia, one of them bilateral, caused by Propecia® prescribed for the treatment of androgenetic alopecia. Although relatively rare, physicians should be aware of this side effect and inform their patients when prescribing this medication.
※dermatologists皮膚科医
フィナステリドは皮膚科の医師の間で男性型脱毛症に広く使用されている。比較的安全な薬ではあるが、いくつかの性関連の副作用が報告されている。男性型脱毛症の治療目的で処方されたプロペシア(※フィナステリドの商品名=引用者注)が原因の女性化乳房の2例(うち1例は両方の乳房に起こったもの)に触れてみる。比較的稀な例ではあるが、医師はこの副作用に注意して患者に対してこの薬を処方する際は、知らせるようにすべきである。
※この論文の詳細はこちらから拾うことができるのであたってみてください。→「ここです」
僕は、人生で何度かハゲかかったことがあり、このフィナステリドにお世話になろうと思ったことがその数だけあります。
しかしそのたびにハゲが疾患ではないこと、そもそも毒を持って毒を制する、その元の毒がないことを確認して使用を思いとどまりました。
何度目かに思いとどまったときに読んだのが引用した論文です。
女性化乳房というのは、胸がまさに女性のように大きくなってしまうことです。
フィナステリドの副作用として稀であるけれど確認されていると書いてありますね。
あなたにとってこれは軽微な副作用ですか?
ある日、自分のおっぱいがあなたがいつも吸っている嫁(や彼女)のおっぱいと同じになっているのが軽い副作用になりますか?
ハゲをなおすためならおっぱいぐらい仕方がない、となりますか?
僕だったら、大嫌いなパクチーと高野豆腐がセットで出されても、平気で全部平らげてしまうくらいは動揺すると思います。
そもそもこの副作用知っていましたか?
同じ論文のcase report(症例報告)のところには、こうも書かれているので、また引用してみます。日本語は再び僕が付けています。
A 21-year-old male, with androgenetic alopecia, generally healthy except for hypothyroidism treated with µg/d Eltroxin, developed bilateral gynecomastia four months after finasteride 1 mg/day initiation. Ten months after cessation of treatment, the patient still had enlarged breasts with no apparent improvement [Figure 1]. The second patient is a 65-year-old healthy male with androgenetic alopecia who developed unilateral left gynecomastia after two months of treatment. Stopping the treatment led to major improvement within two months, but at follow-up six years after this treatment, there is still slight residual swelling.
女性化乳房になった21歳の男性は甲状腺機能低下症のためにエルトロシンを使用していることをのぞいて健康体ではあるがフィナステリドの服用(1日1mg)を開始した4カ月後に両方の胸に女性化乳房の症状が現れた。10か月間服用をやめたが、顕著な改善はなく、依然として胸が大きくなったままだった。二人目の患者は男性型脱毛症である65歳の健康な男性で2カ月の服用のあとに片方の胸に女性化乳房の症状が現れた。
服用の停止後2カ月で顕著な改善があったが、6年たった後でもわずかな胸のふくらみは残ったままだった。
フィナステリドはAGAの治療薬として日本でも広く知られています。
医者が処方している薬なんだから、という安心感があるのか、僕の周りにもサプリでも取っているような感覚で服用している友人がいます。
こいつはコーラでフィナステリドを飲んでいます。
そいつに言わせると
ハゲ対策は医者に通うという一択
のみなんだそうです。
輸入ものに頼る愚かさをなげいて、医者のいるクリニックで処方してもらうのが一番だ、と力説しています。
このブログでは何度も触れましたが安全だということなら「怪しげな」育毛クリニックのほうがはるかに安全なんです。
なぜなら医者がいるクリニックは薬を出すからです。
薬には必ず副作用があります。
フィナステリドは安全な薬で、サプリと同じようなものだという暴論まで、その友人は吐いたことがあります。
僕は、少なくとも服用をやめてなお胸がはれたままの人がいる、そんな副作用があるサプリなんて聞いたことがありません。
ホルモンに関係する薬を疾患ではない症状に対して、飲み続けるというのはボロ船でアメリカ大陸でも発見しにいくような勇気がいることではないでしょうか?
内服のミノキシジルは医者も勧めていない!
ネットで色々なハゲ克服体験談を拾うことができますね。
僕が今まで見た限りそのほとんどが薬の治療の結果によるものです。
中には、ミノキシジルの内服とフィナステリドを「並行して利用している」というツワモノまで見かけます。
ミノキシジルはそもそも降圧剤としてアメリカで認可されている薬ですね。
しかもその降圧剤として使用するにもFDA(U.S. FOOD&DRUG ADMINISTRATION。日本の厚生労働省にあたるところです)から「Boxed Warning」という最高レベルの警告が出されている薬です。
この薬の副作用に多毛症が認められたために、その副作用目当てに多くの人が使用をしているというのが現状なわけです。
これについては、2017年に出された日本皮膚科学会のガイドラインのなかでも注意喚起がなされています。一部を抜き出してみるとこんな風に書かれています。
「男性型脱毛症に対する治療薬としても認可されている国はない。それにもかかわらず、全身の多毛症を起こす副作用があることを根拠に、医師が安易に処方したり、一般人が個人輸入で入手し服用することがあるので、医薬品医療機器等法の観点から問題視されている。」
お医者さんのなかにも安易にミノキシジルを処方することに対して、警報を鳴らしている人たちがいる、ということだけでも頭に入れておいたほうがいいと思います。
AGA治療は怪しげな育毛サロンをつぶすため?
そもそも、お医者さんがいるクリニックがAGAの治療になぜ積極的なのでしょうか?
科学的根拠のない、胡散臭い育毛剤や育毛サロンが幅を利かせているのが、科学者の端くれとして許せないという正義感からでしょうか?
例えば、『間違いだらけの薄毛対策』の著者である麻生泰さんは育毛サロンでうけたひどい経験から真の薄毛治療を模索されている方です。
こういう自身の体験に引き寄せた強い動機を持っている方はほかにもいらっしゃるかもしれませんね。
ただ、僕の意見は少し違います。
浜崎智仁さんは『コレステロールは高いほうが病気にならない』という著書の冒頭で、
筆者が本書でこれから述べることは、ただ一言、
「心筋梗塞を起こしていなければ、家族性高コレステロール血症(遺伝的にコレステロール値が高くなる疾患。通常総コレステロール値が300mg/dlを超す)の患者さん以外は、コレステロールを下げる必要はない」
と記しています。
本の中には複数の日本で行われた疫学調査の結果が掲載されていますが、そのどれもが、今日本で治療が必要と言われている数値の根拠にならないということが素人の目でもわかります。
総コレステロールの値とその後の死亡率を調べた調査のほとんどが総コレステロール値が低い群の死亡率が最も高いと出ているんですね。
(それぞれの調査の中の区分で最も低い群。最も低い群を160mg/dl以下としているものや、120mg/dl以下としているものなどがあります)
確かに総コレステロール値が極端に高い群に関しては死亡率が高いものもあります。
ただしここから上の数値は治療が必要だという根拠にはなっていません。
浜崎さんの言葉を借りれば「コレステロール値が高いほど死ににくい」ということがよくわかるデータなんです。
あなたはコレステロール値が高いと健康に悪いから、薬を飲むべきなんだ、と信じてきませんでしたか?
僕はずっとそう信じてきました。
ただし、はっきりとそれを否定する疫学調査が日本には多数存在するわけです。
AGAが「治療」の対象になった理由はこれ
総コレステロール値が高い群に薬による治療が必要であるという説を否定するデータが多数存在するにも関わらず、それでもなお、以前と変わらない指導(治療)が行われているのはなぜなのでしょうか?
コレステロールが高い人が「患者」であれば、それだけ薬の需要が多くなるわけです。
「患者」が多くなれば、それを診る人が必要なわけです。
僕にとって「AGAは薬で治す時代です」というのはまったくこれと同じ理屈です。
ハゲも疾患と位置付ければ「患者」の数が増えるわけです。
ハゲで悩んでいる男性をインチキくさい育毛サロンに食われるのはもったいないことですね。
だから、薬での治療が必要なんです。
僕は冒頭で、海外の論文から副作用を拾うべきだと言いました。
自分が本当に「患者」になるのかは、そうした準備をしてからでも全然遅くないと思います。
僕がハゲの危機に際してやったことは
1シャンプーを変える
2食事を変える
3運動の習慣を持つ
です。
それぞれ下の記事から確認してみてください。
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