糖質制限とは結局何だったのか?

羽田三樹夫
僕は、うつ病になったときに食事を見直し、一時期糖質制限をしていたことがあります。糖質をまったく取らない極端なものではありませんでしたが、それでも米、パンなどは口にしませんでした。僕がした経験も交えて糖質制限とは本当に健康にいいのか、そして髪にはどんな影響があるのか、触れてみます。

 
 

ポイント!
●精製された糖質(米、パン、砂糖など)を控えるだけで十分意味がある
●炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質という三大栄養素を「何」で摂るかというところに注意するのが一番大切!
 
 

糖質制限とはそもそも何?

糖質制限(「低炭水化物」がおそらく正確な表現)の考え方というのは単純で、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂肪の三大栄養素のうち、炭水化物の摂取を減らし、たんぱく質と脂質の摂取を増やすというものです。

カロリー摂取に占める炭水化物の割合が26%以下(極端な制限を主張する場合はもっと低くなる)になると糖質制限(低炭水化物)となります。

元々肥満や2型糖尿病の予防・治療に使われた食事方法です。それが慢性疾患の予防にもなる、あるいは健康で生きられる年月がのびるという風になったわけです。

糖尿病というのは血糖値の問題ですから、摂り込む糖質を制限するのがいいというところまではなんとなくわかる話ですが、どんな食事よりも勝る食事方法なのだ、という主張についてはどうとらえるべきでしょうか?

羽田三樹夫
僕は『炭水化物が人類を滅ぼす』(夏井睦著)と『「うつ」は食べ物が原因だった』(溝口徹著)を読んで、糖質制限を実践しました。

糖質制限食はこういう「特徴」があります

僕が糖質をゆるやかに制限していたときにまず起こった変化はうんこの出が悪くなるということでした。しかも力んでするとコチコチのやつが出てきます。

そのうちひどい痔になってしまいました。元々痔持ちではありましたが、自分では手に負えなくなるくらい切れてしまい、病院にお世話になることになりました。

糖質を多く含む食物は「糖質だけ」を含んでいるわけではありません。「甘い」ものの代表としてやり玉にあがる根菜類、フルーツなども同じです。特に根菜類に関してはお腹を整えるのにとても大事な食物繊維を多く含んでいるものばかりです。糖質以外の大切な栄養素まで取れなくなるというのが、この糖質制限の一つの特徴と言えます。

また、糖質制限は炭水化物の取り方を指導するもので、タンパク質や脂質をほとんど制限しません。牛や豚の赤身の肉を大量に取り続けると、発がんリスクが高まるという報告を非常によく目にします。ハムやベーコンなどの加工食品についてはもっと健康によくないと言われています。こうした食事についてもほとんど制限しないのが別の特徴です。

羽田三樹夫
僕は今、魚4~5、肉2~3くらいの割合(1週間)で食べています。髪に必要な栄養素はタンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、亜鉛などのミネラルと言われています。

栄養を何で摂るのかというところに目を向けるべき

「糖質」以外の栄養素まで制限してしまう可能性があること、動物性のタンパク質の摂取が増えること、は特徴であると同時にこの食べ方の「弱点」としてもいいようです。

例えば、『「老い」を遅らせる食べ方』の著者の作田英成さんは炭水化物を制限すると体内の炎症を促し、かえって老化を進めてしまうとしています。

そして、そのうえで食事のとり方について基本となる考え方をハーバード大学の研究から引用して提示しています。その部分の日本語訳はこうなっています。

 
 

「植物性の脂肪やたんぱく質、魚介類、ナッツ、全粒穀物、果物、野菜に富む食事を摂り、トランス脂肪酸を避け、赤身肉(牛、豚、羊)の摂取と精製穀物の摂取を減じることは有益であり、それには十分な証拠がある。一方、一切の脂肪を減じるとか、一切の炭水化物を減じるなどという単純過ぎる助言は科学の検証を受けていない。科学的証拠があるのは、脂肪の質、炭水化物の質、たんぱく質の出自だ。」
(『「老い」を遅らせる食べ方』より引用)

 
 

つまり、炭水化物を単に減じるだけで健康になるか不健康になるか、などという議論は不毛で、むしろ、脂肪、炭水化物、たんぱく質を「どんなもので摂るのか」というほうが大切だ、と言っているわけです。

糖質を制限していれば赤身の肉は積極的に摂るべし、というのはやはり疑問が残ります。

脂肪と一言で言っても赤身の肉から摂るのと魚から摂るのとでは違うし、また亜麻仁油などのオメガ3を豊富に含んだものと市販のサラダ油のようなものとでは当然その「質」が違います。

白い米と玄米とでは含まれる栄養が違います。

こうした質の違いを無視して炭水化物を減じていればそれで健康になるんだ、ということになると、議論がだいぶ「雑」になってしまいます。

黒沢月男
食物繊維は植物性食品にのみ含まれ動物性食品には含まれません。動物性食品に食事の割合が傾いてしまうと食物繊維の不足という大問題が出てくるということです。

食生活全般を見直すきっかけになった?

僕はうつ病になる前に、仕事のストレスもありひどい食事をしていました。その結果洗髪だけで200本以上抜ける状態が数か月続くという恐怖まで味わうことになりました。
(これ以前に24歳のとき同様の抜け毛体験をしています。)

元々ケーキやお菓子などの甘いものが好きな上に米や麺が大好きです。米を一食に3合食べていたことだってあります。

僕の場合、炭水化物を制限して心の状態も髪の状態も上向いたのはこういう無茶苦茶な食事を結果的に改めることができたからだと思っています。

まず朝の菓子パンは口にできません。まさか米を食わず牛の部分だけ食べるわけにもいきませんから牛丼も同じです。夜のハンバーガーもだめです。

そうなると糖質が少ない野菜、肉などでエネルギーになるものを見つけてきて食べなければいけません。アボカド、ブロッコリー、葉物の野菜などそれこそ腹の足しになるように食べないと生きていけないという状態になります。

結果としてこれがよかったということだと思います。

ついでながらこのときジャンクフードの類も全部やめました。そしてコンビニで物を買うこともやめました。この習慣は今でも続いています。コンビニで買った物はここ一年ではシャーペンの芯のみです。

食べ物を買ったのは、どうしても時間が取れず仕方なく買ったとろろそばとゆで卵と納豆が最後です。

羽田三樹夫
僕の場合は極端な食事の偏りが修正されて結果オーライだったということになりそうです。痔にはなりましたが……。

過ぎたるは猶及ばざるが如し

このブログではさんざん触れてきましたが、僕が今食事で最も気を付けているのは、どれだけいいうんちを出すかということです。ほとんどそれのみ考えているといっても言い過ぎではありません。

以前、このうんちを意識していることを書いたときに「60代なのに40代にしか見えない」南雲(吉則)先生のことを話しましたが、この人が意識しているのがまさにおなかの健康です。「60代なのに40代にしか見えない」なのだから髪もフサフサです。

当然、腸にいい影響がある食物繊維の類まで取りにくくなってしまうような「栄養制限」はすべきではありません。糖質だけが入っている食べ物というのはほとんど存在しないので、その他の栄養素まで削ってしまうことのリスクを考えないと、大事な大事な腸内細菌にまで影響が出てしまうということになるわけです。

急激な血糖値の上昇が体に悪い影響があるとわかっているのならそれをさせないようにすればいいだけの話です。だから食べる順番に気をつかって、精製された穀物である砂糖、小麦、白米などを遠ざければいいということになります。

イヌイットの人たちが脂肪を多く摂っているのに心血管疾患の罹病率が低い現象のことをイヌイットパラドックスというそうです。

なかにはこれをもってして糖質制限が正しいことの根拠とするような強引な考え方も存在するようですが、これはイヌイットが食べているアザラシについて注目するほうが正しい手順です。

アザラシの肉にはオメガ3と呼ばれる脂肪酸が豊富だとわかっています。オメガ3に期待できる働きは以下の通りです。
 
 
●脳の健康を維持する
●神経疾患を予防する
●骨の健康を維持する
●あらゆる炎症を抑える(アトピー、リウマチ、副鼻腔炎などの予防)
●ガンの予防
●スポーツ選手の持久力向上とケガの予防
●生殖機能の向上、不妊症の予防
●心臓病の予防
●肥満の予防

『病気がイヤなら「油」を変えなさい!』(山田豊文著)より引用
 
 

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」とよく言ったもので、これは糖質制限についても言えます。

僕の経験からいい「うんち」が出ているときは頭皮の状態もいい状態をキープできます。トランス脂肪酸を避け、赤身の肉を食べ過ぎず、魚、大豆、海藻、キノコ、芋などの根菜類をバランスよく摂ると必ずいいうんちが出ます。いいうんちがあるところにいい髪ありです!
 
 

 
 

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髪の悩み相談室登場人物
髪の悩み相談室室長・羽田三樹夫……24歳のときに洗髪だけで200本抜けるという恐怖体験を8か月経験する。そのときから生活習慣の改善に重点を置いた「薄毛にならない対策」をはじめる。父親はハゲ、父親の父親(=祖父)もハゲ、父親の兄(=伯父)もハゲ、母方の祖父もハゲ、父方の親戚にかつらの戦士がいるという「華麗なるハゲ一族」の出。遺伝を考えれば絶望的にかかわらず、42歳になった今でも「ハゲでない」状態をキープしている。
黒沢月男……30歳から生え際が後退しだし、ごまかしが効かなくなっている35歳。薬に頼るかどうか真剣に思案中。
雫まゆみ……旦那がずるむけのハゲ。旦那が育毛剤その他のヘアケア商品の購入のためだけに金を使うのでそのことでしょっちゅう喧嘩をしている。ハゲを見るだけで最近気分が悪くなる。