実はやばい!? プロペシア(フィナステリド)の副作用 ロイターのスクープからわかることその2

プロペシア(薬剤名フィナステリド)というハゲのための薬は副作用が少なく、あったとしても症状が軽いとずっと言われ続けてきましたが、どうも最近になって雲行きが怪しくなっています。

アメリカでは1100件以上の裁判が、自殺してしまった人の遺族や後遺症に苦しむ人から起こされていることはすでに広く知られていることです。

また裁判において非公開だった資料がロイターのスクープによって明るみになり、製薬会社が副作用の可能性を正確に記していなかったということもわかりました。

安心・安全というのは単に売り手の理屈だったのでしょうか? 今日はまたロイターのスクープから考えてみたいと思います。

 
 

ロイターのスクープが明らかにしたこと
●2011年以降、プロペシアを服用した人の自殺や自殺衝動に関する報告がFDAに700件以上あり、うち100人は亡くなっている
●製薬会社は因果関係が不明という理由で、自殺企図の可能性を警告してこなかった
●服用をやめた後も続く副作用の報告があったにも関わらず、反映していなかった
 
 

プロペシア(薬剤名フィナステリド)とは?

抜け毛の原因であると言われている「ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制して薄毛を改善できるとされている薬。アメリカのメルク社によって開発され、その後いくつかのジェネリック薬を生んでいる。

 
 

副作用のデータはそもそも正確ではなかった?

黒沢月男
またフィナステリド(商品がプロペシアなど)というクリニックに行ったら必ず出される薬についてですか?
羽田三樹夫
この薬はずっと副作用が少なく、またその程度も軽いってずっと言われてきただろ?
黒沢月男
製薬会社のデータを見るとそうなっていますよね。
羽田三樹夫
ロイターのスクープ記事を見ると自殺や自殺衝動っていう重要な副作用について正確に記してこなかったとわかるんだな。
黒沢月男
ロイターってあの「ロイター通信」?
羽田三樹夫
そう。そのロイター通信が開示された裁判資料からわかったことを記事にしているだな。
黒沢月男
ちなみにその裁判っていうのは亡くなった方の遺族とか後遺症に苦しんでいる人が起こしたものですよね。
羽田三樹夫
日本ではこういう事実もほとんど知られていないと思う。おそらくクリニックではこの薬は「安心・安全!」で説明はほとんど終わりだと思う。
黒沢月男
まあ薬の説明をするときに「アメリカでは裁判になっている薬ですよ」なんて親切に説明する医者はいないですからね。
羽田三樹夫
ロイターの記事(『Exclusive: Merck anti-baldness drug Propecia has long trail of suicide reports, records show』というタイトルの記事です。ネット検索すれば出てきます。ちなみに「Exclusive」というのはこの会社独自の特ダネ、スクープという意味です)を見てみると2011年以降で700件以上の自殺企図の報告があったっていうんだな。そのうち100人は実際に亡くなったそうだ。プロペシアやそのジュネリック薬を飲んだ人でそういう副作用があったということだ。
黒沢月男
そういう報告があったってこと自体、日本で知っている人はほとんどいないでしょうね。
羽田三樹夫
しかもプロペシアが販売されてから14年間のうちに34件の同様の報告があって、2009年の段階で自殺念慮を含む200件以上のうつ病の報告があったっていうんだな。そりゃ公表しなければわからないって話だ。

 
 

プロペシアを服用した人のうち700件の自殺念慮があったと書かれています!

Since the 2011 decision on the warning, the FDA has received more than 700 reports of suicide and suicidal thoughts among people taking Propecia or generic versions of the drug. Those included at least 100 deaths. Before that, in the first 14 years the drug was on the market, the agency received 34 such reports, including 10 deaths.
2011年の警告ラベルに対する決定以来、プロペシアやそのジュネリックを服用した人のうちで700件以上の自殺や自殺念慮があったとする報告をFDAは受け取っている。少なくとも100件の死亡例が含まれている。これより前、プロペシアが販売されてから14年間に34件の同様の報告を受けている。うち10件が死亡例だ。
※日本語の訳は羽田(=僕)が付けました

 
 

黒沢月男
これって販売当初からわかっていたのに、その後も薬のラベルなどで警告が書かれることはなかったということですか?
羽田三樹夫
今に至るまで因果関係が不明っていうことなんだな。
黒沢月男
だから書かないと。
羽田三樹夫
そう。
黒沢月男
因果関係がわかっていないからしょうがない、で本当にいいんですか?
羽田三樹夫
治験の段階では、性的な副作用が薬をやめてもなお続いた被験者がいて、そのデータを入れていなかったということもわかっているんだな。
黒沢月男
それも因果関係が不明ってことですか?
羽田三樹夫
そういう説明だ。その割には勃起不全だとか、金玉が痛くなることとかは、可能性としてちゃんと載っているだろ?
黒沢月男
情報を選んでいたということになりますか。
羽田三樹夫
それがロイターのスクープの内容のわけだけど、使う方の立場からすれば少なくとも報告があるという事実は公表してもらわないと困るわけだろ。それをずっと「ハゲの人というのは自己評価がそもそも低いので、うつ的な傾向がある」なんていう、突き放したことをずっと言ってきたわけだ。
黒沢月男
そんなこと言ったら怒られますよ!
羽田三樹夫
俺が言ったんじゃないよ! メルク社って製薬会社がずっとそう主張してきたんだよ。ここで言いたいのは少なくともそういう事実があるってことは知っておいたほうがいいんじゃないかってことだよ。
黒沢月男
特にアメリカで先行して認可されている薬ですからね。しかも日本で同様のことがあったとしてもどう考えても声をあげる人は少なそうというのがありますね。
羽田三樹夫
ハゲの薬飲んで副作用が出たからどうにかしてくれ! って日本人が顔を出してまで声をあげるかって言われたら、確かに疑問ではあるな。繰り返しだけど、そういうことがあったと少なくとも知っておくことが大切だよ。

 
 

ロイターのスクープはこちらの記事でも扱っています!
 
 

ハゲに薬は本当に正解か?

羽田三樹夫
このブログではずっと言ってきたけど、男性型脱毛症っていうのは疾患ではないわけだろ?
黒沢月男
病気ではないということですね。
羽田三樹夫
20代で薄くなったとしても、それが死につながるということではないわけ。となるとこれは美容整形と一緒だということだな。
黒沢月男
見てくれが悪いっていうのは病気ではないですからね。
羽田三樹夫
それを恋愛ができなくなるとか、就職面接で不利になるとか言って、強引に生活のクオリティーに結びつけて話されているわけだ。
黒沢月男
病気になったときの生活のクオリティーとは意味がだいぶ違うということですね。
羽田三樹夫
そう。かなり強引な解釈なんだから、まずここに気をつけることだな。病気ではない「症状」に副作用がある西洋薬を使うっていうのはもっと真剣に考えないといけないことのはずだ。
黒沢月男
自分のハゲのことひとつとってみても調べなければならないことが多いということになると。
羽田三樹夫
アメリカで開発された薬なんだから、google翻訳でもなんでも使って英語で情報を拾う癖をつけないとまずいということだな。薬の服用をやめても、「勃たないまま」なんて自分のこととしておきかえたら悲劇以外の何物でもないだろ?
黒沢月男
製薬会社の話もきちんと聞いて、そのうえで反対のことを言っている人の話も聞いて判断する、ということになりますかね。
羽田三樹夫
情報をきちっと仕入れるということだよ。それと、プロペシア(薬剤名フィナステリド)と自殺との因果関係は不明だと言われているけど、このあたりの研究もちゃんとあるんだな。例えば『Three-Dimaensional Proteome-Wide Scale Screening for the 5-Alpha Reductase Inhibtor Finasteride: Identification of a Novel Off-Target』(このまま打ち込めばネットで閲覧できます)という理論的な可能性を示す論文がちゃんと存在するんだな。
黒沢月男
どんな内容なんですか?
羽田三樹夫
フェニルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ(phenylethanolamine N-methyltransferase, PNMT) っていう、副腎髄質の酵素に影響を与えている、とわかったそうだ。
黒沢月男
フェニルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ(phenylethanolamine N-methyltransferase, PNMT)ですか……。この酵素に影響があるとどうなるんですか?
羽田三樹夫
この酵素はノルアドレナリンをアドレナリンに変換する役割があるらしいんだな。
黒沢月男
ノルアドレナリンがうつ病にかかわっているらしいというのはよく聞くので、そこに影響があるってことはうつ病や自殺に影響を与えている可能性が考えられるってことですか。
羽田三樹夫
うつ病自体のメカニズムがわかっていないのだから、ここに影響があるからうつ病になって、やがては自殺に至る、なんて明確には説明できないわけ。ただ、フィナステリドという薬が薄毛を予防すること以外の「作用」があるとちゃんと示されていることが重要だということだな。考えてみれば当たり前の話だけど。
黒沢月男
ハゲにはフィナステリドとミノキシジルの組み合わせ一択だ、なんて言われますけど、一つは今日見たようにまれだとしても深刻な副作用に見舞われる可能性があって、もう一つはアメリカのFDAからその使用に関して警告がでている降圧剤(ミノキシジルのことです!)だっていうのだから『あぶない刑事』より「あぶない」ですね。
羽田三樹夫
例えは無茶苦茶古いけど「安心・安全!」なんていうのは神話だってことだ。

 
 

ミノキシジルという薬についてはこちらをどうぞ!

 
 

 
 
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髪の悩み相談室登場人物
髪の悩み相談室室長・羽田三樹夫……24歳のときに洗髪だけで200本抜けるという恐怖体験を8か月経験する。そのときから生活習慣の改善に重点を置いた「薄毛にならない対策」をはじめる。父親はハゲ、父親の父親(=祖父)もハゲ、父親の兄(=伯父)もハゲ、母方の祖父もハゲ、父方の親戚にかつらの戦士がいるという「華麗なるハゲ一族」の出。遺伝を考えれば絶望的にかかわらず、42歳になった今でも「ハゲでない」状態をキープしている。
黒沢月男……30歳から生え際が後退しだし、ごまかしが効かなくなっている35歳。薬に頼るかどうか真剣に思案中。
雫まゆみ……旦那がずるむけのハゲ。旦那が育毛剤その他のヘアケア商品の購入のためだけに金を使うのでそのことでしょっちゅう喧嘩をしている。ハゲを見るだけで最近気分が悪くなる。

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