食事で薄毛が治るの? 髪の福音を聞いたあの日について

羽田三樹夫
あなたは、『薄毛の食卓』という岡嶋研二さんが書いた本をご存じでしょうか?
この本には、唐辛子と大豆の組み合わせで髪が生えてくるというハゲが小躍りしそうなことが書かれています。こっそり告白すると僕自身もこの本の信奉者だった時期があり、これもこっそり告白するといつでもなんにでもかけられるように唐辛子を持ち歩いていたことさえあります。今回は自戒もこめて僕が考えるこの本の正しい使い方について書いてみます。

 
 
 
 

効果のあった薄毛対策はこちらをどうぞ!

 
 
 
 

大豆と唐辛子で髪がはえる!/『薄毛の食卓』の実験はこんなものです!

『薄毛の食卓』に載っている実験は

1日カプサイシン6mg、イソフラボン75mgを5カ月間摂取してもらうという実にシンプルなもの

です。
(カプサイシンは唐辛子の辛みの主成分、大豆に含まれるのがイソフラボンです)
 
 
 
 
結果はなんと

31人中20人、実に64.5%の人に薄毛の改善効果があった

と出ています。
 
 
 
 

カプサイシンとイソフラボンを5カ月間摂取した場合の育毛効果がこれ!
本物の食品成分を摂取した人31人中20人(64.5%)
※31人の内訳は男性型脱毛症の人=25人、全頭脱毛症の人=5人、円形脱毛症の人=1人

偽物(プラセボ)を摂取した人17人中2人(11.8%)→プラセボ効果!
※17人の内訳は男性型脱毛症の人=14人、全頭脱毛症の人=3人

~『薄毛の食卓』より引用~

 
 
 
 

カプサイシン6mg、イソフラボン75mgというのは、一味唐辛子にすると2g分、豆腐にするとたった半丁分(約200g)だそうです。

一味唐辛子2gがどのくらいかというと、だいたい市販で売っている一味唐辛子の小瓶が14gくらいですね。

だから、1週間で小瓶1本を消費するというイメージです。

1本せいぜい100円くらいですね。

1か月にすると400円です。

豆腐はどうでしょうか?

1丁100円だとしても1週間で400円くらいですね。

1か月1600円です。
 
 

合計で1か月2000円す。
 
 
2000円で髪が生えてくるのが確実なら、高い育毛剤は捨てますね。

AGA治療を実践している人は明日から薬を飲むのをやめると思います。

2000円のコスパと手軽さには絶対にかないません。

それもまずい食品を無理して食べよ!なんてことでもありません。

豆腐にネギ、しょうが、鰹節をかけた冷奴は僕の大好物で、唐辛子だってそばやうどんには必ずかけるほど好きな香辛料の一つです。

豆腐にも唐辛子にもどちらにも悪い印象を持っている人はそれほど多くないはずです。

これは「髪の福音」以外の何物でもないですね。

これだけで本当に毛が生えるのだったらまさに「福音」そのものです

これだけで、付帯条件もなにもなく毛が生えるのだったら本当にそうです。

大豆と唐辛子で髪がはえる!?
 
 
 
 

著者が画像の流用および改ざんで不正を指摘される!

この本がハゲにとっては「永遠の迷著」とされる理由は、『薄毛の食卓』の著者である

岡嶋研二さんが研究活動の不正を日本学術振興会から指摘され処分されている

という残念な事実があるからです。

この本での不正ではないものの他の論文で「画像の流用及び改ざん」が確認されたそうです(日本学術振興会が発表した「科学研究費補助金に係る研究活動の不正について」を参照)。

そういう事実を知ったうえでこの『薄毛の食卓』を読んだ時の説得力に欠けるかんじと言ったら確かに半端じゃないものがあります。

例えば、目次を抜き出してみると、こんなハゲへの「福音」が並んでいます。

 
 
 
 

刺激的なハゲへの「福音」がいっぱいです!

●「八丁味噌は天下人と毛を生み出す!?」
●「赤い鮭には育毛効果が」
●「根菜類の凄いデトックスパワー」
●「発酵食品は発毛食品だった」
●「わさびの辛味成分が毛根を刺激する」
 
 
 
 

特に刺激的なフレーズを抜き出したわけではなく、全編このトーンで「ハゲを励ます」調子が続いています。

しかも、カプサイシンとイソフラボンによって毛が生えたという主張を裏付けるように、生えてきたことがわかる「画像」が掲載されています。
(あの定番のbefore→afterの形式で掲載されている!)

もうここまでいくと、
 
 
 
 
「STAP細胞はあります!」
 
 
 
 
と言われているようにさえ聞こえてくるのは僕だけでしょうか?

ちなみに岡嶋さんは今、名古屋Kクリニックの院長になって(ご本人のクリニックだと思います)主に髪の治療に当たられています。

そこでは、以前にメディアで取り上げられたご自身の理論が堂々と未だに宣伝されています。
 
 
 
 
唐辛子と大豆は永遠!
 
 
 
 
なのかもしれません……。

 
 
 
 

ハゲに必要なのは地道な努力のみ?

僕が食事の仕方で一番参考にしたのは、以前もふれた『新版日本の長寿村・短命村』(近藤正二著)という本です。

 
 

 
 

この本は、著者が36年間、北海道から沖縄まで990カ町村を歩いて集めた情報をもとにどんな地域に長寿(あるいは短命)が多いのが書きだしたフィールドワークです。

一番大きな柱になる結論を僕なりにあげてみると
 
 
 
 
野菜を多く摂っていると長生きできる
 
 
 
 
ということになります。

この本の中には例えば、秋田県では塩辛い漬物で米を大食することが多く、こういうところには短命が多い、といった記載があります。
(この本が出版された当時の記述です。今は変わっていると思います)

米を大食して、塩辛いものを常食しているというところも、もちろんポイントなのですが、全編に目を通してみると
 
 
 
 
「野菜を多く摂っていない」
 
 
 
 
ということがより重要だとわかります。

食事の基本というのは当たり前の話ですがバランスが最も大事です。

そしてこのバランスは野菜を多く摂るというのが大前提のバランスです。
 
 
 
 
長寿というのはいってみれば老化が後ろに倒れた状態ですね。
 
 
 
 
ハゲの原因はいまだにわかっておらず
 
 
 
 
確実なのは年をとれば薄くなるということだけ
 
 
 
 
です。
(ジヒドロテストステロンをやり玉にあげてもそれだけでハゲの説明をつけることはできません)

だから、長寿の人の食事を真似することは結果としてハゲ対策でもあるわけです。

僕は、24歳のときに洗髪だけで抜け毛が200本以上抜ける状態が8か月も続くという恐怖体験をしていらい、何度かハゲかかったことがあります。

その都度、食事の仕方、生活習慣、使っているシャンプーを見直してハゲずになんとか生き残ってきました。

 
 

僕が助けられシャンプーはこれです!
 
 

この禿げていない状態を維持できたのは、これが効く!といった甘言にまどわされずに地道に頭皮をいたわってきたからです。

食事には

わかめだけ食べていれば、髪がふさふさになるといったような裏技は存在しません。

大豆を常食していれば長生きできる確率が確かにあがるようです。
(実際『新版日本の長寿村・短命村』にそう書いてあります)

ただしこれだけで、長寿が実現するわけではありません。

一番大事なのは、
 
 
 
 
野菜を基本にしたバランスのいい食事の設計を建てること
 
 
 
 
です。

そこに唐辛子も豆腐も加えてもきっといいはずです。

すべてはバランスの上に成り立っているということになると思います。

『薄毛の食卓』という本はハゲ対策で「特効薬」など存在しないと傍らにおいて自らを戒める使い方というのが一番ふさわしいようです……。

 
 

 
 
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髪の悩み相談室登場人物
髪の悩み相談室室長・羽田三樹夫……24歳のときに洗髪だけで200本抜けるという恐怖体験を8か月経験する。そのときから生活習慣の改善に重点を置いた「薄毛にならない対策」をはじめる。父親はハゲ、父親の父親(=祖父)もハゲ、父親の兄(=伯父)もハゲ、母方の祖父もハゲ、父方の親戚にかつらの戦士がいるという「華麗なるハゲ一族」の出。遺伝を考えれば絶望的にかかわらず、42歳になった今でも「ハゲでない」状態をキープしている。
黒沢月男……30歳から生え際が後退しだし、ごまかしが効かなくなっている35歳。薬に頼るかどうか真剣に思案中。
雫まゆみ……旦那がずるむけのハゲ。旦那が育毛剤その他のヘアケア商品の購入のためだけに金を使うのでそのことでしょっちゅう喧嘩をしている。ハゲを見るだけで最近気分が悪くなる。